プリウスPHVに乗る Written by 森 隆

西予市に大型の風力発電所をつくる

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「命を育む森林」と風のゆくえ

先日、西予市にて「命を育む森林」と題した講演会が開かれました。講師は、四国の森づくりネットワーク会長の鶴見武道氏。私にとっては、11年前に愛媛大学の「地域再生マネジメントスキル講座」で林業や炭焼きを学んだ際にお世話になった、懐かしい恩師でもあります。

あの頃と変わらず、鶴見氏は柔和な口調のなかに確かな厳しさを宿し、聴く者の胸に静かに問いを投げかけてくださいました。その姿に、遠い日々の学びが昨日のことのように蘇りました。

奇しくも今、この西予市では出力4000kW級の大型風力発電所が、山間部を中心に計画されているとのこと。私は、こうした「再生可能エネルギー」の在り方に、複雑な思いを抱いています。

私が大規模風力発電を好ましく思わない理由

  1. バードストライクの危険性  猛禽類は、上昇気流やサーマルを活用して滑空し、獲物を狙います。夢中になって地表を見つめている彼らに、上方から迫る風車のブレードは見えません。その衝突により、気絶や死亡に至るケースもあります。風の道は、鳥たちの道でもあるのです。
  2. 再エネ賦課金という形の負担  3円〜4円/kWhの賦課金が、再エネ事業者のためにすべての国民に課せ
    1. されています。電気料金に占める割合は高く、誰もが恩恵を受けるわけではありません。一部事業者の営利のために、なぜすべての家庭が支払わねばならないのでしょうか。
    2. 化石燃料との矛盾した共存  風や太陽に頼る発電は、気象に左右されがちで安定しません。その不安定さを補うため、結局は火力発電が必要となり、結果として二酸化炭素の排出は避けられません。「再生可能」とはいえ、実態はそう単純ではないのです。
    3. 風もまた地域の資源  風という恵みで生み出された電力の価値が、都市部や外資に流れていきます。騒音や将来の廃棄物といった“負の遺産”だけが地域に残されるのは、あまりに不公平ではないでしょうか。

    私は、大規模ではなく、サボニウス型風車小水力発電のような、風土と調和する小さな営みを支持しています。エネルギーのあるべき姿を、もう一度地域の視点から見直す時期に来ているように感じています。